昨今の福祉制度改正の動きは、これまで地域で福祉活動を展開してきた市民グループやボランティア団体の、
今後の活動のあり方を考える契機となりました。
今回は、平成9年3月に、潜在看護婦を地域の福祉活動に参加させようと発足した「訪問ボランティアナースの会
CANNUS(キャンナス)」の代表の菅原由美さんに、新しい制度下での今後の活動についてお話を伺いました。
新しい活動を生む原動力に
菅原さんは、ご自身で家族を在宅介護した経験と、自分のように看護婦の資格や経験を持つ方が、会得した技術や
専門性を地域福祉に生かすことで「在宅の看護や介護で疲れている人々に休める時間を持たせてあげられたら」
という思いを抱き、会を立ち上げました。
「設立当初は在宅で生活する重度の高齢者の利用が大変多く、在宅で介護されている方が本当に困っていることを
痛感しました。介護保険が始まり、多くの利用者が介護保険適用の事業者に移行していった時、これからの
市民活動としての会のあり方を改めて考えてみたのです。そして介護を必要とする方の立場から考え、
利用できるものはどんどん利用してより良い介護の環境になることが、真の意味での活動となるのではないかと
思ったのです」と菅原さんは話します。
制度の有効的な活用と、どんな要望にも対応できる体制作りが必要と感じた菅原さんは、介護保険で賄えるサービスは
制度適用の有限会社「ナースケア」を設立して対応することにしました。そしてCANNUSでは、制度が適用されない方や
よりきめ細かい援助を必要とする方の支援を行うほか、これまでの高齢者介護中心の活動から更に枠を広げた活動を
行っていきたいと話します。
「私たちは、元看護婦であると共に家庭を持つ主婦で子育てをした母親でもあります。その体験と会での活動経験を生かし、
地域の子育てや在宅障害者の支援に結び付けられたらと思っています。また、元看護婦が技術や専門性を最大限に
発揮しながら、介護者を取り巻く様々な人たちと共感し合い、同じ目線で介護できるよう意識改革にも取り組んで
いきたいです」と意欲を示します。
その他、市民を対象とした在宅介護セミナーの開催や、ケアマネジャーのネットワーク作りなど、地域福祉の充実に向けた
活発な活動を行いながら、制度改革を追い風にしてCANNUSは新たな帆を上げようとしています。
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